食品の安全とリスクのはなし

食品安全に関することやリスクコミュニケーションについて考えていることを書いています。

品質管理のお仕事(クレーム対応の実例)

信じられない程更新をサボっていました。

今回は実際にあったクレームの実例を紹介したいと思います。ただし、会社の内部情報でもある製造上の問題があったケースをむやみに公開する訳にもいかないので、実際にはクレームではなく、お客様の勘違いや誤解だった事例をご紹介したいと思います。

 

 まず、営業からの連絡が以下の通り入りました。

「トマトの缶詰を使って調理をしていたら、フライパン上から異物を発見した、というお申し出が購入したスーパーにありました。至急その異物が何であるかを調査して欲しいとスーパーより依頼がありました。」

 

(フライパン上……この時点でお客様のところで何か入った可能性が高そうだな、と想像したりします)

 

届いた現物がこちら。

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大きさは1cm程です。何だかお分かりになるでしょうか。色や吸湿した感じ、結晶がたくさん含まれているところで、私は一目見てピンときました。料理をよくする方であれば難しくないと思います。

 

答えはいわゆるコンソメキューブです。試しに少量をお湯に溶かしてみた所、ちゃんとスープになりましたw  アミノ酸の分析も行いたいところでしたが、残念ながら輸入商社である弊社にはラボはなく、ここまで調査は終了です。

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 つまり、お客様が自分で味付けのために加えたコンソメキューブを異物と勘違いしお申出をなさったというオチでした。調理中に何かが混入して異物混入としてお申し出を頂くことは実際よくあるのですが、自分で加えた調味料を異物と勘違いしたこのケースはほとんど自作自演でさすがに苦笑いするしかありませんでした。もちろん、お客様に悪意はありません。本当に勘違いをなさっていただけでした。

 

最終的に上記の確認内容を報告書にまとめ、スーパーに提出します。スーパーは私の報告書を元にお客様にご説明してようやくクローズになります。お客様の勘違いであっても、かかる手間暇は品質に問題があった場合と大差はありません。

 

今回は一目見て判る簡単なケースでしたが、ラボがないオフィスで毎回あの手この手で調査確認をします。とても難しい作業ですが、品質管理としてのスキルと経験を最大限発揮させることができる仕事でもあります。