栄養成分表示のEUと日本で異なる点
食品表示法が施行されて旧表示が認められる経過期間が来年の3月末に迫ってきました。食品表示に関わる仕事をしている品質管理の方は、最終的な確認で忙しいかもしれませんね。
ところで、私はヨーロッパから輸入した食品を扱う機会が多いのですが、食品表示にかかる規定が日本と異なる点がいくつかあります。その中でもサプライヤーとやりとりをしていて引っかかる点が炭水化物と食物繊維の数値でした。
Energy 238
Fat 8.9
of which saturated fat 1.0
Carbohydrates 14.0
of which sugar 1.7
Fibre 11.0
Protein 20.0
Salt 1.0
サプライヤーから上記の様にデータが提示されます。Carbohydratesは通常であれば炭水化物指すはずです。そしてFibreが食物繊維ですね。日本の栄養成分表示では炭水化物=(糖質+食物繊維)ですので、
炭水化物14.0=(糖質3.0+食物繊維11.0)
となります。しかし、この数値でカロリーを計算すると194で238と差が大き過ぎると思います。計算式は以下の通り。熱量(kcal/100g)=たんぱく質×4 + 脂質×9 + 糖質×4+食物繊維×2
実はEUではCarbohydratesは炭水化物ではなく糖質を意味します。炭水化物という概念がないというのが正しいのかも知れません。なので正しくは、
炭水化物25.0=(糖質14.0+食物繊維11.0)
となります。数値として意外と大きな差となってしまうので注意が必要です。このEUと日本の違いを認識している人は余りいないと思われ、EUからの輸入食品を扱う方は、ぜひこの機会に表示の再確認をしてみてください。
ちなみに、EUの表示の規定は以下の文書で確認できます。
https://eur-lex.europa.eu/
英語で長文なので、P.42のANNEX IのSPECIFIC DEFINITIONSの箇所を確認頂くとよいかと思います。
7. ‘carbohydrate’ means any carbohydrate which is metabolised by humans, and includes polyols;
8. ‘sugars’ means all monosaccharides and disaccharides present in food, but excludes polyols;
9. ‘polyols’ means alcohols containing more than two hydroxyl groups;
12. ‘fibre’ means carbohydrate polymers with three or more monomeric units, which are neither digested nor absorbed in
the human small intestine and belong to the following categories: